ストレージ不足で大型タイトルが入らず、ゲームの入れ替えに疲れていませんか。
Steam DeckのSSD換装は魅力的ですが、対応SSDの規格や工具、分解の安全性、データ移行といった不安で踏み切れない方が多いのが現状です。
この記事では準備項目、対応SSDの選び方、分解と取り替えの手順、OS移行やベンチマークまでを実務的にわかりやすく解説します。
TORXドライバーや静電気対策、M.2 2230の互換性、バックアップの作り方など、実際に手を動かす前に押さえておきたいポイントを順に紹介します。
まずは準備する工具と対応SSDの選び方から確認して、安全に換装を進めましょう。
Steam DeckのSSD換装

Steam Deckの内蔵SSD換装はストレージ容量や読み書き速度を飛躍的に向上させる効果があります。
ただし、作業は分解を伴いますので事前準備と注意が必要です。
準備項目
換装前には必要な工具と周辺機器を揃えておくと手戻りを防げます。
- TORXドライバーT5
- 精密ピンセット
- 静電気防止リストストラップ
- プラスチックオープナー
- USBメモリ
また、作業スペースは平らで明るく、ネジや小さな部品をなくさないようにトレイやマットを用意してください。
対応SSD規格
Steam Deckが対応するのはM.2 2230フォームファクターのNVMe SSDです。
項目 | 仕様例 |
---|---|
フォームファクター | M.2 2230 |
接続 | NVMe PCIe |
コンパチビリティ | 物理サイズとコネクタ一致が必要 |
購入時は必ず製品ページで2230対応を確認してください。
推奨容量
容量は利用スタイルで選ぶのが良いです。
軽めの利用であれば256GBで満足できますが、ゲーム数を増やす予定があるなら512GBか1TBを推奨します。
将来を見据えた余裕が快適な運用につながります。
互換性確認
物理的なサイズとキー配列が一致しているかを最優先で確認してください。
メーカー仕様だけでなく、ユーザーの換装報告や公式フォーラムの情報も参考にすると安全です。
データバックアップ
換装前には必ずデータのバックアップを作成してください。
Steamのクラウドセーブは有用ですが、ゲームのセーブ以外にローカル設定や非対応タイトルのデータは手動でコピーする必要があります。
外付けSSDやUSBメモリにクローンを作成しておくと復元が容易になります。
バッテリーストレージモード設定
分解作業前はバッテリーを適度に充電しておくと安全です。
一般的には45%から55%程度で電源を切ることを推奨します。
可能であればOSの電源管理でストレージモードに設定し、完全放電を避けてください。
分解安全対策
静電気対策は必須ですのでリストストラップを着用してください。
ネジは種類ごとに分けて保管し、力を入れすぎずにコネクタを外してください。
バックカバーを外すときはプラスチックオープナーでゆっくりと隙間を広げると破損を防げます。
起動確認
新しいSSDを取り付けたらまずはBIOSやデバイス情報で認識されているか確認してください。
次にリカバリーメディアやインストールUSBから起動して正常にインストーラーが動作するかをチェックします。
認識しない場合はコネクタの接続状態やネジの締め付けを見直してください。
ベンチマーク
換装後はベンチマークで実測値を確認すると、導入効果を実感できます。
シーケンシャル読み書きや4KランダムIOPSを測定して、カタログ値と大きく乖離しないかを検証してください。
温度やサーマルスロットリングの影響もチェックし、長時間プレイ時の安定性も確認すると安心です。
準備する工具と周辺機器

Steam DeckのSSD換装を安全かつ確実に行うためには、工具と周辺機器を事前にそろえておくことが重要です。
ここでは必須と推奨のアイテムを分かりやすく解説いたします。
TORXドライバーT5
内部ネジを外すにはTORX規格のT5ドライバーが必須です。
磁気付きの先端だとネジを落としにくく、作業が格段に楽になります。
- T5サイズ
- マグネット先端
- 細めの軸で長さのあるタイプ
精密ピンセット
SSDや小さなコネクタを扱う際に、指だけでは取り回しが難しい場面が出てきます。
先端が細い精密ピンセットを用意すると、部品をつまんで位置合わせする作業が安定します。
静電気防止リストストラップ
電子部品は静電気に非常に弱く、無防備だと基盤を壊してしまう恐れがあります。
リストストラップを身につけて、作業中は必ずアースに落としてから分解してください。
プラスチックオープナー
バックカバーの爪を傷めずに分離するには、金属工具ではなくプラスチックオープナーが適しています。
力の入れどころを誤ると爪が折れるため、少しずつ慎重に隙間を広げることを心がけてください。
USB-Cハブ
換装後にOSを再インストールしたり、外部デバイスへアクセスする場合にUSB-Cハブが重宝します。
Steam DeckはUSB-Cから複数ポートを利用するため、互換性の高いハブを選ぶことをおすすめします。
ポート | 用途 |
---|---|
HDMI | 外部画面接続 |
USB-A | 外付けストレージ |
有線LAN | 高速通信 |
USBメモリ
リカバリーメディアの作成や、クリーンインストール用のイメージ保存にUSBメモリが必要になります。
容量は8GB以上を推奨し、読み書き速度が速い製品を選ぶとインストール時間が短縮されます。
また、起動ドライブとして使用する際はフォーマット方法に注意してください。
対応SSDの選び方

Steam DeckのSSD換装を考える際には、物理的な互換性と性能の両方を確認することが重要です。
ここでは初心者にも分かりやすく、実用的な選び方を解説します。
フォームファクターM.2 2230
Steam Deckで使えるSSDは原則としてM.2 2230の小型フォームファクターです。
長さ22mm、幅30mmの規格に合わないSSDは物理的に取り付けられませんので注意してください。
他サイズのM.2を無理に流用するアダプターもありますが、安定性や放熱面で問題が出るためおすすめしません。
接続規格NVMe
接続規格はNVMe(PCIe)対応のものを選ぶ必要があります。
SATA接続のM.2は形状が合ってもSteam Deckではサポート外となるため、購入前に仕様の確認をお願いします。
読み書き性能
ゲームのロード時間やインストール速度に直結するため、読み書き性能は重視したいポイントです。
- シーケンシャル読み取り 1500MB/s以上
- シーケンシャル書き込み 600MB/s以上
- ランダムIOPS 高め推奨
あまりにも低速なモデルだと体感で差が出ますので、ベンチ結果を参考に選んでください。
耐熱特性
小型筐体のため、発熱対策が重要になります。
コントローラの発熱が高いとサーマルスロットリングで性能が落ちやすいので、レビューで温度挙動を確認してください。
放熱パッドや薄型ヒートシンクの装着が可能かもチェックすると安心です。
容量目安256GB〜1TB
容量選びは所持しているゲーム数と予算で決めると良いです。
256GBはライトユーザー向け、512GBはバランス良好、1TBは多くの大作を入れるヘビーユーザー向けです。
価格差と将来の追加インストールを考慮して、無理のない容量をおすすめします。
信頼性と保証
長く使うためには耐久性とメーカー保証も重要な選定基準です。
TBWやMTBFの数値、国内でのサポート体制を事前に確認してください。
項目 | 確認ポイント |
---|---|
耐久指標 | TBW 書込保証 |
保証期間 | 年数 国内サポート有無 |
ファームウェア更新 | 更新頻度 公開情報の有無 |
信頼できるメーカーの実績やユーザーレビューも購入判断の材料にしてください。
分解とSSD取り外しの工程

この章ではSteam Deckの分解からSSD取り外しまでの具体的な手順を、注意点とともにわかりやすく解説します。
初めての作業でも冷静に進められるように、準備と順序を重視した説明にしています。
バックアップ作成
作業前に必ず現行のシステムとユーザーデータのバックアップを作成してください。
クローンツールを使ったディスクイメージの作成がもっとも確実です。
暗号化を有効にしている場合は事前に解除するか、パスワードを控えてください。
バックアップは外付けドライブやネットワークストレージの両方に保存しておくと安心です。
MicroSD取り外し
まずMicroSDカードを本体から取り外して、別の安全な場所に保管してください。
カード内の重要データがある場合は先にコピーを取ることをおすすめします。
電源が入ったままでの抜き差しは避けてください。
外装ネジ解除
背面のネジはTORX T5で取り外します。
力任せに回すと頭をなめることがあるため、正しいサイズのドライバーを使用してください。
ネジは紛失しないように分類して保管すると、再組み立てが楽になります。
バックカバー分離
プラスチックオープナーを使ってバックカバーのツメを丁寧に外してください。
無理に引っ張るとツメが折れるので、少しずつ隙間を作りながら作業します。
内部にケーブルやコネクタが露出している場合は、バックカバーを完全に剥がす前に位置を確認してください。
シールド取り外し
内部の金属シールドは数本のネジで固定されていますので順に外していきます。
シールド下にあるフラットケーブルやコネクタを傷つけないように注意してください。
シールド取り外し後は、内部の埃を軽くブロワーで飛ばすと熱対策になります。
SSDネジ解除
SSDは小さな固定ネジで留まっていますので無くさないように扱ってください。
取り外し時はドライバーの角度を安定させ、ネジ山を壊さないよう回してください。
部位 | ネジ仕様 |
---|---|
SSD固定ネジ | M2長さ2mm |
シールド固定ネジ | PH00長さ3mm |
SSD取替
古いSSDを静かに外して、新しいSSDを挿入してください。
接点に汚れがある場合はエアダスターで清掃してから取り付けると良いです。
取り付ける際はコネクタに対して斜めにならないように注意してください。
- 古いSSD 取り外し
- 接点清掃
- 新しいSSD 挿入
- 固定ネジ 取り付け
組み立て
分解の逆順で丁寧に組み立てます。
ケーブル類は元の位置を確認して、無理な折り曲げを避けて接続してください。
ネジは落とさないように順に締め、強く締めすぎないようにしましょう。
バックカバーは均等にツメをはめ込んでから最後のネジを締めると隙間が出にくいです。
初回起動確認
組み立て後はまず電源を入れてBIOSやファームウェアでSSDが認識されているか確認してください。
認識されていない場合はコネクタの接触不良やネジの締めすぎを疑い、再度開封して点検します。
OSのクリーンインストールやクローンからの復元を実施して、システムが問題なく起動するか最終確認を行ってください。
OS移行とデータ復元

SSD換装後に最も重要なのはOSの移行とデータの復元作業です。
ここではSteam Deckに適したクリーンインストールやクローン作成、リカバリーメディアの準備から運用上のチェックまで、実践的な手順を丁寧に解説します。
SteamOSクリーンインストール
クリーンインストールはトラブルを避けつつ性能を最大化する方法です。
公式のSteamOSイメージをValveのサポートページから入手し、推奨される手順に従ってインストールメディアを作成してください。
インストール時はパーティション構成とUEFIブート設定を確認し、必要に応じてパーティションサイズを調整してください。
インストール後はSteamクライアントのログインとライブラリ整合を行い、動作確認をしてから日常利用に戻すことをおすすめします。
ディスククローン作成
既存の環境をそのまま新しいSSDへ移したい場合はディスククローンが有効です。
Clonezillaやddコマンド、商用ソフトを利用してセクタ単位でクローンを作成できますが、容量差によるパーティション縮小やUUIDの重複に注意が必要です。
クローン後は起動設定やEFIパーティションを確認し、必要ならブートローダーの再インストールやfstabのUUID更新を行ってください。
作業中は電源断を避け、クローン元とクローン先の整合性を取るために再起動して実際に起動するかを必ず確認しましょう。
リカバリーメディア作成
換装に備えてあらかじめリカバリーメディアを準備しておくと、万一のトラブル時に復旧が速やかです。
次のアイテムを用意してください。
- 公式SteamOSリカバリイメージ
- 8GB以上のUSBメモリ
- イメージ書き込みソフト
- ネットワーク接続環境
イメージの書き込みはRufusやBalenaEtcherなど信頼できるツールを使い、作成後に別のPCでブート確認しておくと安心です。
ドライバ・ファーム更新
新しいSSDに移行した後はシステムと周辺デバイスのドライバやファームを最新に保つことが重要です。
ValveやSSDメーカーの提供するアップデートを適用し、互換性や性能向上を図ってください。
対象 | 更新方法 |
---|---|
SteamOS本体 | 公式アップデート |
ファームウェアSSD | メーカーツール |
周辺機器 | デバイスベンダー |
ファーム更新時は電源確保と手順確認を徹底し、中断や電源断を避けることで失敗リスクを下げられます。
暗号化解除
クローンや移行を行う前に、元SSDに暗号化がかかっているか確認してください。
LUKSやBitLockerなどで暗号化されている場合は、事前に復号して平文状態でクローンするか、復号キーを用意して復元後に解除手順を行ってください。
暗号化解除を忘れるとブートに失敗したり、データにアクセスできなくなる可能性があるので注意が必要です。
データ整合性チェック
移行後は必ずデータ整合性のチェックを行ってください。
S.M.A.R.T.によるSSD健全性確認や、ファイルシステムのfsck実行、主要ゲームデータの起動検証を行うと安全です。
さらにライブラリの整合性チェックをSteam側で実行し、欠損ファイルがないかを確認してください。
問題が見つかった場合はバックアップからの復元や再クローンを検討し、作業ログを残して再発防止に役立ててください。
換装後の長期運用と注意点

運用開始後は温度管理を重視してください。
高負荷時は換気やファン設定で冷却に配慮すると安定動作につながります。
定期的にファームウェアやBIOSの更新を確認し、互換性や性能改善を取り入れてください。
SSDの健康はSMART確認やベンチマークで監視し、異常があれば早めに対処してください。
データは定期的にバックアップし、ローカルとクラウドの併用でリスクを分散させると安心です。
TRIMの有効化や空き容量の確保を習慣化し、書き込み耐性を向上させてください。
最後に、保証やサポート条件を確認し、必要に応じてメーカー対応を依頼することをおすすめします。