SSDを換装してクローンを作るとき、起動しなくなるのではと不安になりますよね。
特にリカバリ領域(回復パーティション)が正しく移行されていないと、起動トラブルや復旧機能の喪失に直結します。
この記事ではその落とし穴を避け、安心して換装を完了させるための具体的手順とツール別の注意点をわかりやすく示します。
事前バックアップ、パーティション整理、ツール別設定、コマンドによる再登録や代表的エラー対処、最終チェックまでを網羅しています。
手順を一つずつ解説するので、初心者でも順を追って対応できます。
まずは基本ポイントから確認していきましょう。
SSD クローン 回復パーティションを正しく移行する具体手順

SSD交換や容量アップのためにクローンを行う際、回復パーティションを正しく移行しないと起動トラブルや回復機能の喪失が生じます。
ここでは事前準備からクローン後の確認まで、実務で使える具体的な手順を分かりやすく解説します。
事前バックアップ
まず最優先でシステムと重要データのバックアップを作成してください。
イメージバックアップがあれば、クローン作業に失敗しても元に戻せます。
可能であれば外付けドライブやネットワーク上に二重で保存すると安全性が高まります。
回復パーティションの場所確認
ディスク管理やdiskpartで現在の回復パーティションの位置とサイズを確認してください。
通常はEFIパーティションや回復パーティションがOSパーティションの前後に存在しますが、メーカーによって構成が異なります。
位置を把握しておくことで、クローン時に誤って上書きしたり、移し忘れを防げます。
Windows REの有効性確認
reagentcコマンドでWindows回復環境が有効かどうかを確認してください。
無効になっている場合は有効化して、回復イメージのパスが正しいかもチェックします。
この段階で問題があれば、クローン前に修復しておくと作業後のトラブルを減らせます。
回復ドライブの作成
万が一に備え、回復ドライブをUSBに作成しておくことをおすすめします。
回復ドライブがあれば、クローン後にブートできない状況でも起動して修復操作が行えます。
作成時は必要ファイルをすべて含める設定にしておくと、機能が限定されることを防げます。
クローン前のパーティション整理
移行先SSDのパーティション配置を決め、不要ファイルを整理しておいてください。
特にシステム予約領域や回復パーティションの重複を避けるため、事前にサイズ調整が必要になることがあります。
次に示すチェックリストを順番に確認してください。
- 不要ファイルの削除
- ディスクの最適化とエラーチェック
- パーティションの縮小や空き領域確保
- 回復パーティションの位置メモ
クローン時のパーティション割当設定
使用するクローンソフトでパーティションごとのコピー方法を明確に指定してください。
自動割当に任せると回復パーティションが移行されなかったり、誤った順序で配置されることがあります。
以下は一般的な割当の目安を示した表です。
パーティション | 推奨サイズ | 備考 |
---|---|---|
EFI | 100 MBから550 MB | UEFIブートに必要 |
Microsoft Reserved | 16 MBから128 MB | 一部システムで必要 |
Windows回復 | 450 MBから2 GB | 回復ツールやイメージ格納用 |
Cドライブ | OSとアプリに応じて可変 | 余裕を持たせること推奨 |
表の数値は目安です、メーカー構成により異なる点に注意してください。
パーティションの先頭順序を正しく保つことが、起動性を確保するコツです。
クローン後のブート確認と修復
クローンが完了したら、まず新しいSSDからの起動を試みてください。
起動しない場合は、EFIの起動エントリやBCDを修正する必要がありますので、回復ドライブで起動して修復を実行します。
具体的にはbcdbootやbootrecコマンドを用いてブートファイルの再作成や修復を行ってください。
最後にreagentcでWindows REが新しいパスに登録されているか確認して、問題なければ作業完了です。
使用ツール別の設定ポイント

SSD換装やクローン作業では、使うツールによって注意点が大きく変わります。
ここでは主要なツールごとに実務で使える設定ポイントと落とし穴を分かりやすく解説いたします。
Macrium Reflect
Macrium ReflectはGUIが洗練されており、初心者から上級者まで使いやすいイメージです。
クローン時は「Clone this disk」機能を使い、必ず回復パーティションとEFIパーティションを含めて選択してください。
SSD向けにはパーティションアラインメントのオプションがあり、1MBアライメントを有効にすると性能面で有利になります。
オプションで「IntelliCopy」や「Verify Image」はチェックしておくと、コピー後の整合性確認に役立ちます。
作業前にRescue Mediaを作成しておくと、ブート不能時の修復がスムーズです。
Clonezilla
Clonezillaはフリーで強力ですが、コマンドライクな操作に慣れている必要があります。
デフォルトだとセクター単位でコピーするため、ソースより小さいターゲットには注意が必要です。
- デバイス間コピー
- expertモードでパーティション調整
- イメージ保存と復元
expertモードを使えばパーティションの自動リサイズやEFI領域の扱いを細かく指定できますので、必ずオプションを確認してください。
ターミナルメッセージをよく読み、誤ったディスクを選ばないように慎重に進めることをおすすめします。
Samsung Data Migration
Samsung Data MigrationはSamsung製SSD専用の簡便ツールで、初心者に人気があります。
ただし、ソースディスクとターゲットディスクのサイズ差やパーティション構成によっては回復パーティションを正しく移行できないことがあります。
項目 | 推奨設定 |
---|---|
パーティション選択 | すべてのシステム領域 |
アライメント | 自動最適化 |
検証 | 完了後確認 |
基本的にGUIに従えば簡単ですが、移行後にWindows REが無効になっていることがあるため、必ずreagentcで状態を確認してください。
Acronis True Image
Acronisは商用ツールとして機能が豊富で、ハードウェアの乗り換えを想定した機能が備わっています。
特に「Universal Restore」は異なるハードウェア環境へ復元する際に便利で、ドライバ周りの問題を緩和できます。
クローン時はスマートセクターモードとセクター単位コピーを用途に応じて選び、回復パーティションを明示的に含めてください。
SSD最適化オプションがある場合は有効にし、作業後にブート修復ツールやレスキューメディアで起動確認を行ってください。
Windows標準のバックアップや回復ドライブ作成機能は手軽に使えますが、クローン専用の機能は限定的です。
システムイメージ作成と回復ドライブの組み合わせで移行を行うことは可能ですが、ディスク間の直接コピーや細かなパーティション移動には向いていません。
換装後はreagentcやbcdbootで回復環境やブート構成を再登録する手順が必要になる場合があります。
手順を間違えると起動不能になるリスクがあるため、事前に回復ドライブを作成してから作業することを強くおすすめします。
回復パーティションの移動・縮小作業の手順

SSD換装やクローン作業で回復パーティションを移動または縮小する際の実務的な手順をまとめます。
操作はデータ損失や起動不能のリスクを伴うため、慎重に進めていただく必要があります。
パーティション番号の確認
まずはディスクとパーティションの現在の構成を把握します。
管理者権限でコマンドプロンプトを開き、diskpartを起動してください。
diskpart内でlist diskと入力し、対象のディスク番号を確認します。
次にselect disk Xを実行し、list partitionで各パーティションの番号とサイズを確認します。
回復パーティションは通常タイプがRecoveryまたは未割当領域の隣にありますので、サイズと開始位置で特定すると分かりやすいです。
ドライブレター割当
回復パーティションは通常ドライブレターが割り当てられていないため、作業前に一時的に割り当てます。
diskpartでselect disk Xを行い、select partition Yで対象パーティションを選択してください。
assign letter=Rのように一時的なドライブレターを与えると、ファイルシステムへアクセスできます。
割当後はエクスプローラーやmountvolで内容を確認し、重要なファイルがあればバックアップを取ってください。
作業完了後はremove letter=Rでドライブレターを解除することを忘れないでください。
回復パーティションのバックアップエクスポート
削除や縮小を行う前に、回復パーティションのバックアップを必ず取得してください。
バックアップ方法は用途に応じて選ぶと安全です。
- DISMを使ったWIM作成
- イメージツールでパーティション保存
- 物理コピーツールでセクタ単位保存
DISMを使う場合は、回復パーティションをマウントしてからdism /Capture-Imageなどでイメージ化します。
サードパーティ製のイメージツールであれば、パーティション単位で保存できる機能がありますので操作が楽です。
保存先は別ドライブや外付けSSDにすると、万一の際に安全です。
回復パーティションの削除手続き
バックアップが完了したら、回復パーティションの削除手続きを行います。
削除はdiskpartやディスクの管理で実行可能ですが、UEFIやブート構成に影響が出ないよう注意が必要です。
操作 | 目的 |
---|---|
select disk X | 対象ディスク選択 |
select partition Y | 対象パーティション選択 |
delete partition override | 強制削除 |
diskpartのdelete partition overrideは強力なコマンドですので、対象が間違っていないか二重に確認してください。
GUIのディスクの管理を使う場合は、削除前にボリュームの内容とディスク番号を必ず再確認してください。
パーティション結合
回復パーティションを削除してできた未割当領域は、隣接パーティションと結合することで有効活用できます。
Windowsのディスクの管理では、隣接した未割当領域をCドライブに結合できない場合があります。
その場合はサードパーティ製のパーティションツールやGPartedを使ってパーティション移動や結合を行うと簡単です。
操作中はパーティションの開始位置が変わるため、ブート情報がずれる可能性がある点に留意してください。
Cドライブ拡張
未割当領域がCドライブの直後にあることを確認したら、Cドライブを拡張します。
ディスクの管理でCドライブを右クリックし、ボリュームの拡張ウィザードを起動してください。
コマンドで行う場合はdiskpartでselect volume Nを実行し、extend size=XXXで拡張できます。
拡張後はchkdskを実行してファイルシステムの整合性を確認することをおすすめします。
最後に回復環境が正しく動作するかを確認し、必要であればreagentcで再登録してください。
回復環境を再登録するための主要コマンド

ここではWindowsの回復環境を正しく再登録する際に頻出するコマンド群を、用途と実行順の観点からわかりやすく解説いたします。
実行には管理者権限が必要であり、誤操作を避けるために事前にバックアップを取ってください。
reagentc
reagentcはWindows Recovery Environmentの設定確認と登録を行う専用コマンドです。
まず現在の状態確認はreagentc /infoで行ってください。
Windows REが無効であれば、一度reagentc /disableで無効化してから、正しいパスを指定して再登録する手順が安全です。
回復イメージのパスを設定するにはreagentc /setreimage /path X:\Recovery\WindowsREのように実行します。
パス設定の後にreagentc /enableで有効化し、再度reagentc /infoで状態を確認してください。
よくある注意点として、指定するパスは回復パーティションをマウントしたドライブ文字を使うか、ボリュームGUIDを使う必要があります。
bcdboot
bcdbootはブートローダーと起動ファイルを作成または修復するためのコマンドです。
UEFIやLegacyのブート問題に直面した際、bcdbootで起動ファイルを作り直すことが有効です。
コマンド | 用途 |
---|---|
bcdboot C:\Windows | 起動ファイル作成 |
bcdboot C:\Windows /s S: | 指定パーティションへ書込 |
bcdboot C:\Windows /l ja-JP | ロケール指定 |
bcdboot C:\Windows を実行すると、既存のBCDが更新または再構築されます。
回復環境を再登録した後にブートファイルが欠けている場合は、まずbcdbootでブート関連ファイルを修復してください。
diskpart
diskpartはディスクやパーティションの割当、マウント操作を行う強力なツールです。
回復パーティションのパス指定やマウントにはdiskpartでボリュームを選択する工程が必要になることが多いです。
代表的な手順は次の通りです。
- list disk
- select disk n
- list partition
- select partition n
- assign letter=X
partitionやvolumeの操作は即時反映されますので、間違いのない選択が重要です。
bootrec
bootrecは主に起動関連の修復に用いるコマンド群です。
よく使うオプションはbootrec /fixmbr、bootrec /fixboot、bootrec /rebuildbcdです。
UEFI環境ではbootrec /fixbootがアクセス拒否になる場合がありますので、その際はbcdbootを組み合わせて対処してください。
rebuildbcdでWindowsインストールを検出しない場合は、手動でブートエントリを作成するか、BCDを再生成する方法を検討します。
mountvol
mountvolはボリュームのマウントやアンマウントを行うためのコマンドです。
回復パーティションを一時的にドライブ文字に割り当てる際、mountvol S: /Sでシステムパーティションを簡単にマウントできます。
特定のボリュームGUIDを直接マウントする場合はmountvol X: \\?\Volume{GUID}\の形式で実行してください。
作業が終わったらmountvol X: /Dで割当を解除し、システムの整合性を保ってください。
代表的なエラー別の対処法

SSD換装やクローン作業で起こる代表的なトラブルと、その現場ですぐ使える対応策をまとめます。
読みながら手を動かせるように、診断ポイントと具体コマンド、注意点を中心に記載します。
EFIブート失敗
症状としては電源投入時にEFIブートメニューが表示されない、または「Operating System not found」や「No bootable device」といったエラーが出ます。
まずはBIOS/UEFI設定でブートモードがUEFIになっているか、そして起動順序に移行先SSDのEFIパーティションが登録されているかを確認してください。
セキュアブートやCSMの設定が影響することもありますから、状況に応じて一時的に無効化して試すと原因切り分けが速まります。
EFIブートファイルの書き換えや再作成はbcdbootコマンドで行えますので、Windowsのインストールメディアや回復環境からコマンドプロンプトを起動して作業します。
例としては以下のコマンドを実行します。
diskpartでEFIパーティションのドライブ文字を割り当ててから、bcdboot C:\Windows /s S: /f UEFIを実行します。
作業後はBIOSで該当エントリができているか確認し、必要であればブートエントリの優先順位を調整してください。
BCD構成エラー
BCD(Boot Configuration Data)の破損や誤設定は、起動時のエラー画面やループを招きます。
まずはインストールメディアで回復コンソールを起動し、bootrecやbcdeditで現在の状態を確認しましょう。
原因 | 対処 |
---|---|
破損したBCD | BCD再構築 |
誤ったブートエントリ | エントリ削除と再登録 |
EFIファイル欠落 | bcdbootで再作成 |
具体的には回復環境で以下のコマンドを順に試します。
bootrec /fixmbrでMBR領域の修復を試み、次にbootrec /fixbootでブートセクタの整合性を確保します。
さらにbootrec /scanosでシステム検出を行い、bootrec /rebuildbcdでBCDを再構築します。
これで解決しない場合は、bcdeditでエントリを手動削除し、bcdbootで新規に登録する方法を採用してください。
Windows RE無効
Windows回復環境が無効化されていると、回復パーティションは残っていても機能しません。
まずは管理者権限でコマンドプロンプトを開き、reagentc /infoで状態を確認してください。
無効になっている場合はreagentc /enableで有効化を試しますが、パスが正しくないと有効化できない点に注意が必要です。
必要であれば回復パーティション上のwinre.wimの場所を確認し、reagentc /setreimage /path X:\Recovery\WindowsRE のようにパスを指定して再登録します。
有効化後はreagentc /infoで状態がEnabledとなっていることを確認し、回復環境からの起動テストを行ってください。
回復パーティション欠落
クローン元に回復パーティションがない、あるいはクローン時に除外された場合は回復機能が利用できなくなります。
まずは次のどれかの方法で回復手段を確保してください。
- 回復ドライブの作成
- Windowsインストールメディアの準備
- winre.wimの別保存
回復パーティションを後から再作成する場合は、空き領域を確保して新しい回復パーティションを作成し、winre.wimを配置してreagentcで登録します。
具体的な流れはディスク管理やdiskpartでパーティションを作り、フォーマット後にwinre.wimをコピーしてからreagentc /setreimageとreagentc /enableを実行する方法です。
回復イメージが手元にない場合は、メーカー提供のリカバリメディアやMicrosoftのインストールメディアを使って回復ドライブを作成してください。
容量不足による認識不可
新しいSSDがクローン元より小さいと、回復パーティションやシステムパーティションが切り詰められて認識されないことがあります。
まずはクローン元の使用領域を確認し、新SSDに収まるかを評価してください。
容量が足りない場合は不要ファイルや大きなユーザーデータを外付けに移動し、システムのみを小さくしてからクローンを行うのが現実的です。
クローンツール側でパーティションごとのリサイズオプションがあれば、ターゲットの容量に合わせて手動調整を行ってください。
それでも認識されない場合は、セクタ数やアライメントの差が原因になっていることがあるため、ツールの「セクター単位でクローン」や「ターゲットに合わせて最適化」設定を試してください。
最後に、クローン後はディスク管理でパーティション構成を確認し、必要ならCドライブの拡張やパーティションの再配置を行ってください。
換装作業を安全に終えるための最終チェック項目

換装作業を安全に終えるための最終チェック項目をまとめます。
このチェックリストは、起動確認、回復環境の再登録、パーティション整合性の確認、バックアップの保管を含みます。
まず電源投入でSSDが正常にブートするか、複数回再起動して確認してください。
Windows REの状態をreagentcで確認し、有効でない場合は再登録を行います。
ディスク管理でパーティションが意図したサイズと配置になっているか、未割当領域が残っていないかを点検してください。
重要なバックアップを別メディアに保管しているか、復旧ドライブを作成済みかの最終確認を忘れないでください。
問題があればブート修復やbcdboot、bootrecの実行を検討してください。
- 起動確認(BIOS/UEFI設定含む)
- Windows RE有効化の確認
- 回復ドライブの作成済み
- 重要データの外部バックアップ
- パーティションサイズとファイルシステムの整合性
- BCDとEFIエントリの存在確認
以上を確認すれば、換装作業は安全に完了するでしょう。