容量不足や起動の遅さ、作業中のもたつきにイライラしている方は多いはずです。
特に古いMacBook Proだと内蔵ストレージがボトルネックになり、パフォーマンス低下やSSD寿命の不安が出てきます。
この記事ではSSD換装で得られる性能向上のメリットと、作業リスクや費用、対応モデルごとの可否を実用的にお伝えします。
準備すべきバックアップや適合SSDの選び方、具体的な交換手順やトラブル対処も段階的に解説します。
まずは対応モデル一覧で自分の機種が交換可能かを確認し、次の手順へ進みましょう。
MacBook ProのSSD交換

MacBook ProのSSD交換は、動作の軽快化や容量不足の解消に直結する有効なアップグレードです。
モデルや年式によって作業の難易度が大きく変わる点に注意が必要です。
以下で性能面からリスク、準備まで詳しく解説します。
性能向上
SSDを高速なモデルに交換すると、起動時間が大幅に短縮されます。
アプリケーションの起動やファイルの読み書きが速くなり、作業効率が上がります。
特に動画編集や仮想マシンの利用など、ディスク性能がボトルネックになりやすい作業で効果が顕著です。
また、空き容量を増やすことでスワップ発生が減り、全体のレスポンスが安定します。
リスク
純正品以外のSSDを装着すると、互換性や動作保証の問題が発生する可能性があります。
内部作業中に誤って他の部品を破損すると、修理費用が膨らむおそれがあります。
また、作業前にバックアップを取らないとデータ損失のリスクが高くなります。
さらに、Appleの保証期間内であっても分解痕があると保証適用外になる場合があります。
費用目安
容量 | 目安費用 |
---|---|
256GB | 約1万円 |
512GB | 約1万5千円 |
1TB | 約2万5千円 |
上記はSSD本体の目安価格で、モデル特有のアダプタや専用コネクタが必要な場合、追加費用が発生します。
ショップでの交換サービスを利用すると、作業費が別途かかり、合計で数千円から数万円上乗せされます。
作業時間目安
作業自体は機種により5分で終わる場合もあれば、1時間以上かかることもあります。
一般的に2012〜2015年の旧モデルは分解がしやすく、30分程度で完了します。
一方で2016年以降の薄型モデルは内部構造が複雑で、時間に余裕を持つことをおすすめします。
交換可否判定
まずシステム情報で実装されているSSDの種類と接続方式を確認してください。
シリアル番号やモデル識別子からAppleの公式仕様を照らし合わせると、交換可否がわかりやすくなります。
一部の2016年以降モデルは基板に直付けされたSSDで、ユーザー交換が事実上不可能です。
判断に迷った場合は、専門店での診断を受けると安全に判定できます。
対応SSDの種類
対応するSSDは機種ごとに異なりますので、事前確認が不可欠です。
- SATA 2.5インチ換装型
- PCIe NVMe モジュール型
- Apple専用ブレード型
- 外付けUSB NVMeケースで代替
互換性のない製品を購入すると起動できないことがあるため、購入前に必ず互換性情報を確認してください。
データ保護
交換前にはTime Machineやクローンソフトで必ずバックアップを作成してください。
クローン作成は、クリーンインストールより復旧が簡単で時間短縮につながります。
FileVaultで暗号化している場合は、作業前に暗号化を解除するか、復号用のパスフレーズを手元に用意してください。
さらに、重要データはクラウドや外付けに二重バックアップしておくと安心です。
対応モデル一覧

MacBook Proの世代ごとにSSDの交換可否や手順が大きく変わります。
ここでは代表的なモデルを分かりやすく整理し、どの世代で自分で交換できる可能性があるかを説明します。
モデル名だけで判断せず、実機の仕様やシリアル番号で最終確認することをおすすめします。
2012〜2015モデル
この世代は機種によって差があり、比較的交換しやすいモデルが多かった時期です。
非Retinaの初期モデルは2.5インチSATAドライブを採用しており、取り外しやすく交換が現実的です。
Retinaモデルでも2012年から2015年は独自形状のPCIeブレード型SSDを採用しており、対応する互換品を用意すれば交換できます。
- MacBook Pro 13-inch Mid 2012 非Retina
- MacBook Pro Retina 13-inch Late 2012
- MacBook Pro Retina 15-inch Early 2013
- MacBook Pro Retina 13-inch 2014
- MacBook Pro Retina 15-inch 2015
2016〜2017モデル
2016年から2017年のモデルは筐体設計が一新され、SSDの形状や取り付け方法がより複雑になりました。
一部のモデルは専用のブレード型SSDを使用しており、互換性が限定されますから注意が必要です。
外観が似ていても年式やTouch Barの有無で取り付け方法が変わりますので、事前の確認が重要です。
モデル | SSD形状 | 交換のしやすさ |
---|---|---|
MacBook Pro 2016 13インチ Touch Bar | プロプライエタリ PCIe ブレード | 限定的 互換性確認が必要 |
MacBook Pro 2016 13インチ 非Touch Bar | プロプライエタリ PCIe ブレード | やや難 易しい作業を伴う |
MacBook Pro 2017 13インチ | プロプライエタリ PCIe ブレード | 限定的 専用パーツ推奨 |
2018以降モデル
2018年以降は設計がさらに進み、SSDがロジックボードに半田付けされているモデルが増えました。
Apple T2セキュリティチップの搭載でストレージ周りの仕様が変わり、サードパーティ製SSDの使用に制約が出る場合があります。
そのため、2018年以降のモデルは原則として自分での換装は推奨できず、公式サポートや専門業者への依頼が安全です。
準備

MacBook ProのSSD交換を安全かつ確実に行うために、事前の準備が最も大切です。
ここではバックアップの作成、適合SSDの選定、必要な工具、そして購入先の選び方を順に解説します。
バックアップ作成
まず最初に、必ずデータの完全なバックアップを作成してください。
macOS標準のTime Machineは手軽で信頼性が高く、外付けドライブへ定期的にバックアップを取ることができます。
より確実にシステムごと移行したい場合は、Carbon Copy ClonerやSuperDuperなどでブータブルなクローンを作成する方法が便利です。
バックアップ作成後は、書類や写真など主要ファイルが復元できるかどうか、念のため一部を復元して確認しておくことをおすすめします。
暗号化されたバックアップを使用する場合は、パスフレーズの管理を忘れないでください。
適合SSD選定
交換可能かどうかはモデル年式と筐体の設計によって大きく異なりますので、まずはMacのモデル番号を確認してください。
シリアル番号や「このMacについて」からモデル識別を行い、それに基づいて対応するSSDの形状とインターフェースを確認します。
以下の表は代表的なSSDタイプと対応するモデル群の目安です。ここにない機種は事前にメーカー情報を確認してください。
SSDタイプ | 主な対応モデル |
---|---|
SATA 2.5インチ | 2012 13インチ非Retina 2012 15インチ非Retina |
Apple専用PCIeブレード | 2013 2014 2015 Retina モデル |
プロプライエタリNVMeブレード | 2016 2017 Touch Bar 搭載モデル |
基板直付け(交換不可が多い) | 2018 以降 多くのTouch Barモデル |
上表はあくまで目安ですので、購入前に品番やコネクタ形状を必ず照合してください。
互換性の確認には、既存SSDの物理的な形状とコネクタ形状を写真で確認する方法が確実です。
必要工具
正しい工具を用意しておくと、作業時間が短くなり破損リスクを減らせます。
- プラスドライバー(#00など)
- ペンタローブドライバー
- トルクスドライバー
- スパッジャーまたはプラスチック製のヘラ
- 静電気防止リストストラップ
- ピンセット
- 外付けケースまたはUSBアダプタ(クローン作成用)
工具は精度の高いものを選んでください、特に小さなネジ用ドライバーは安物だとネジ山を潰す恐れがあります。
静電気対策は非常に重要です、静電気でSSDやロジックボードを壊すと修理費用が大きくなります。
購入先選定
SSDを購入する際は、信頼できる販売元を選ぶことが重要です。
純正の部品番号や対応リストを明示している販売店や、メーカー直販を優先すると安心感があります。
互換品を選ぶ場合は、購入前に返品・交換ポリシーを確認し、動作保証や保証期間があるかをチェックしてください。
また、パフォーマンスや耐久性に差が出るため、レビューや実機での動作報告を参考にすることをおすすめします。
最後に、注文前に必ずMacのモデルと既存SSDの型番を控えて照合してください。
交換手順

ここではMacBookのSSDを安全かつ確実に交換するための手順を段階的に解説します。
初めて交換する方でも分かりやすいように、準備から起動確認、データ移行まで順を追って説明いたします。
電源オフと放電
まずMacBookを通常の方法でシャットダウンしてください。
電源ケーブルと外付け機器はすべて取り外してください。
シャットダウン後、電源ボタンを10秒程度押し続けて内部回路の残留電荷をできるだけ放電します。
ノートPC内部のキャパシタは完全に無電状態にすることが難しいため、作業前にしばらく放置することをおすすめします。
静電気対策
静電気でSSDや基板を損傷するとデータが失われる可能性があるため、必ず静電気対策を行ってください。
静電気防止リストストラップを手首に着け、金属部に接地してください。
作業場所はカーペットや衣類から離れた平らな作業台が望ましく、導電性のあるマットがあれば理想的です。
SSDやコネクタには素手で触れず、端子や基板部分は持たないように注意してください。
底面カバー取り外し
必要なドライバーを用意し、取り外すネジの種類と位置を確認してください。
ネジは小さく紛失しやすいので、並べて管理するか磁気トレイを使ってください。
工具 | 用途 |
---|---|
P5 Pentalobeドライバー | 底面カバー取り外し |
TorxまたはY型ドライバー | 内部ネジの取り外し |
ピンセット | 小さなネジやコネクタ操作 |
ネジを外したら底面カバーをゆっくり持ち上げ、プラスチック製クリップがある場合は破損しないように慎重に外してください。
既存SSD取り外し
SSDの位置と固定方法を確認してください。
ほとんどの交換可能なモデルはM.2型や専用モジュールで、1本または2本のネジで固定されています。
ネジを外したらSSDをやや持ち上げてスロットから斜めに引き抜いてください。
力を入れすぎるとコネクタを壊す恐れがあるため、水平ではなく斜めの動きで抜くことがポイントです。
取り外したネジや金具は番号や位置が分かるように保管してください。
新SSD装着
新しいSSDは必ず端子を触らないようにエッジから取り扱ってください。
スロットに対して適切な向きで差し込み、最初は軽く斜めに挿入します。
挿入後、SSDを押し下げて所定の位置に合わせ、付属のネジで固定してください。
ネジは軽く締め、過度の力でねじ切らないように気をつけてください。
最後に底面カバーを戻し、ネジを元の場所に戻して完了です。
起動とフォーマット
電源を入れて起動音やLEDの状態を確認してください。
初回起動時は起動ディスクが未設定のため、macOSリカバリモードまたはインターネットリカバリで起動する必要があります。
起動後、ディスクユーティリティを開き、新SSDをGUIDパーティションマップでフォーマットしてください。
macOSのバージョンによってはAPFSを選ぶのが推奨されますが、古いmacOSを使用する場合はMac OS拡張を選んでください。
T2セキュリティチップ搭載モデルでは外部ブートの設定やセキュリティ設定の変更が必要になる場合があります。
データ移行
データ移行は事前に作成したバックアップから行うと安全です。
以下は代表的な移行方法です。
- Time Machineからの復元
- Migration Assistantによるアカウント移行
- クローンソフトでの完全クローン復元
- ターゲットディスクモードで直接コピー
- 必要なファイルを手動でコピー
移行後はユーザーデータやアプリケーションの動作を一通り確認してください。
問題があればバックアップに戻すか、個別に設定をやり直すことを検討してください。
トラブルと対処

MacBookのSSD交換後に起こり得る代表的なトラブルと、その対処法をまとめます。
軽い不具合からデータ復旧が必要な深刻な問題まで、段階的に確認すると効率的です。
まずは安全第一で作業を中断し、バックアップの有無を確認してください。
SSD未認識
電源を入れてもシステムが新しいSSDを認識しない場合は、まず接続状態を確認してください。
固定ネジの緩みやコネクタの微細な汚れで認識されないことが多いです。
macOSのリカバリーモードでディスクユーティリティを開き、diskutil listでデバイスが出ているか確認してみてください。
外付けケースに入れて別のMacやPCで接続することで、ハードウェア故障か内部設定の問題かを切り分けられます。
起動不能
交換後に起動しなくなった場合は、起動ディスクの選択ミスやブートローダーの不整合が疑われます。
起動時にOptionキーを押して起動ディスクを手動で選択してみてください。
NVRAMリセットとSMCリセットを試すと改善することが多く、手順を順に実行する価値があります。
それでも起動しない場合は、リカバリーモードからmacOSの再インストールを行い、設定が原因かどうかを確認してください。
速度低下
交換直後に期待した速度が出ない場合は、フォーマットやTRIM設定が関係していることが多いです。
以下を順番に確認すると対処が早く済みます。
- フォーマット形式 APFSかHFS Plusか
- TRIMサポート 有無と有効化の可否
- 接続インターフェース PCIeかSATAか
- ファームウェア 最新の有無
大型ファイルコピーやベンチマークで連続書き込みが遅い場合は、SSDの性能特性やサーマルスロットリングも疑ってください。
データ復旧
交換作業中にデータが見えなくなったら、まず電源を切り、これ以上の書き込みを避けてください。
Target Disk Modeで別のMacに接続して読み出せるか試すと、簡単に取り出せる場合があります。
市販の復旧ソフトを使う方法もありますが、重要なデータがある場合は専門のデータ復旧業者に相談することをおすすめします。
復旧作業は成功率と費用がケースによって大きく変わるため、事前に見積もりを取ると安心です。
互換性エラー
互換性に起因するエラーは、モデルごとの対応SSD種類の違いが原因で発生します。
下表でお使いのモデルがどのタイプを必要とするか、まずは確認してください。
モデル | 推奨SSDタイプ |
---|---|
2012 2013 2014 2015 | 独自形状 Apple専用コネクタ |
2016 2017 | PCIe NVMe カスタムコントローラ |
2018以降 | T2チップ連携 NVMe M.2変換不可の場合あり |
特にT2チップ搭載モデルは署名済みのファームウェアやセキュアブート設定が影響するため、純正あるいは互換性を保証する製品を選ぶのが安全です。
互換性エラーが出る場合は、ファームウェアアップデートとmacOSの最新版適用も併せて試してください。
交換後の管理と保証確認

交換後はSSDの動作確認と定期的な監視が大切です。
S.M.A.R.T.やベンチマーク速度、温度を確認し、異常があれば早めに対処してください。
FileVaultやTRIMの設定が必要な機種は再設定を行い、定期バックアップを必ず有効にしておきます。
保証については、Apple正規サービスでの交換でないと保証が無効になる場合があるので、事前にAppleサポートに問い合わせることをおすすめします。
領収書や交換したSSDの型番、シリアル番号は保管し、問題発生時に備えてください。
最後に、数日間は普段通りの作業で安定性を観察し、違和感があれば専門業者へ相談すると安心です。